大竹研究室

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信頼性設計法と性能設計の理念と実際:地盤構造物の中心として

著者名:本城 勇介・大竹雄

出版社名:技報堂出版 株式会社

発売日:2018/12

定価:本体4,800円+税

国際書籍コード:ISBN978-4-7655-1859-8 C3051

目次

1 はじめに
第Ⅰ部 信頼性設計法の概要
2. 信頼性設計法の概要
3. 地盤構造物の信頼性解析法GRASPの概要

第II部 地盤構造物のための信頼性解析法
4. 確率場による地盤パラメータの
 空間的バラツキのモデル化
5. 空間的バラツキの影響評価と
 統計的推定誤差評価
6. 変換誤差とモデル化誤差
7. MCSによる信頼性解析

第III部 性能設計,設計コードと
    コードキャリブレーション
8. 性能設計
9. 設計コード
10. むすび:残された課題
付録:演習問題

内容紹介

我が国では,2000年前後から発展してきた性能設計の考え方と信頼性設計法が相俟って,設計基準の考え方の根幹が変革期を迎えている.例えば,我が国の主要な設計基準のひとつである「港湾の施設の技術上の基準」は,2007年に性能規定化と信頼性設計法の導入が図られ,さらに2018年5月発刊のその改訂版では,信頼性設計法の部分が,大幅に見直された.また,我が国の社会基盤施設の設計でもっとも大きな市場規模を持つ「道路橋示方書」は,2017年10月に大幅改訂され,性能規定化の徹底と,信頼性設計法の導入が図られた.本書の執筆時期は,これらの改訂作業時期と重なり,著者達も多くの機会に,これら基準の改訂作業の一部に係わり,また多くの知見や情報を関係者から入手することができた.これらについては,本書の中(特に8,9章)でも触れられている. 従って,本書はこれらの基準の背景(地盤設計に限らない),すなわち「理念と実際」を解説する著書として読むことができる.どのような読者を対象としているかは,第1章を見られたい.

 本書は結果的に,従来の信頼性設計法の解説書とは,多くの点で異なっている.その一つの理由は,著者達の専門分野が地盤工学であって,構造工学でないと言う点に起因している.しかしそれ以上に,実務で実際に信頼性設計法を利用すると言う観点に立ち,伝統的な信頼性設計法を見直したことにも寄っている.それは具体的には,例えば以下の諸点である.
(1) 性能設計,特にその信頼性設計法とのリンクについて詳しく説明した.
(2) 確率計算を,全面的にモンテカルロシミュレーション(MCS)によることを推奨した.この結果,従来の解説書が重視した確率計算法(例えばFORM)の解説を省略した.
(3) 信頼性解析における最重要事項は,確率計算ではなく,データに基づく不確実性の定量化であることを強調した.その結果,確率論よりも統計学を重視している.
(4) 地盤構造物を対象とした総合的な簡易信頼性解析法(GRASP)を提案している.
(5) 部分係数法の設計照査式の形式に関する詳細な議論を,実務的観点から行った.
(「まえがき」より)

本書は,次の2 つの目的を持って執筆された.
目的I:著者らが開発してきた地盤構造物のための信頼性解析法(通称GRASP)を,体系的かつ実務に適用可能な形で提示すること.
目的II:「道路橋示方書」,「港湾の施設の技術上の基準」等,わが国の代表的な設計コードが準拠する,性能設計と信頼性設計法について,その全体像を体系的に説明し,またこれらを有効に活用するための方法を実務者に提示すること.
言うまでも無く,これら二つの目的は相反するものではなく,むしろ補完する関係にある.

本書は,次のような要求を持つ読者を対象に書かれている.
タイプA:任意の地盤構造物の信頼性設計を実施したい.
タイプB:新しい工法や設計法の開発,また大規模プロジェクトの設計に関わっている実務者で,信頼性設計法の考え方に基づいて,新たに独自の部分係数を更新・設定する方法が知りたい.
タイプC:性能設計や信頼性設計法と,これらの考え方に基づいて作成された設計コードの,基本的な思想の全体像を理解したい.

先に挙げた3 つのタイプの読者について,本書で特に読むべき箇所を示す(図1.1も参照).
タイプA:第1 部と第2 部及び10 章を読んで頂きたい.またその際後述するように著者らのURL で種々の補足的な資料が提供されているので,それらも十分に活用して頂きたい.設計コードに関心があれば,第3 部も読んで頂きたい.
タイプB:第1 部と第3 部及び10 章を読んで頂きたい.また7 章は,信頼性解析の方法(具体的にはMCS)の詳細を説明しているので,参考になると思われる.さらに,特に地盤構造物の設計が問題なる場合は,第2 部の内容もある程度知って頂くと,理解が深まると考えられる.タイプC:第1 部及び8,9 章と10 章を通読して頂くと,性能設計と信頼性設計法,さらにこれらの考え方に基いて作成された設計コードの基本的な考え方の全体像をある程度理解できるように記述した.
                                                      (1章より抜粋)

本書の構成